人間の体は様々な元素で成り立っています。そのうち酸素、炭素、水素、窒素の四元素で約97%を占めます。その他はカルシウム、リン、硫黄、カリウム、ナトリウム等の微量元素です。これらの微量元素が栄養学上ミネラル(無機質)と呼ばれています。ミネラルは体内で重要な働きをしそれぞれが相互作用しています。
必須ミネラルは生命維持には欠かす事の出来ない栄養素です。必須とはいえ過剰摂取は健康の維持、増進には好ましくありません。例えば食塩に含まれるナトリウムの摂り過ぎは生活習慣病のリスクを増大させます。ミネラルはそれぞれに推奨摂取量と耐容上限量があり適度にバランス良く摂取する事が大事です。有害ミネラルは、体に有用な効果は認められず蓄積すると悪影響を及ぼします。
推奨摂取量、耐容上限量に関しては厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準」(2010年版)PDFをご参照下さい。硫黄、塩素、コバルトに関しては、推奨量は定められていません。
その他のミネラルについてはこちら
必須ミネラル
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主な役割
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欠乏すると
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過剰摂取すると
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細胞外液量維持、体内浸透圧・pH調節 | 低血圧、熱中症、日射病、頭痛、筋力低下 ※一般的に欠乏する事はほとんど無い |
高血圧、浮腫、動脈硬化等の生活習慣病 | |
体液の浸透圧決定、pH維持、神経や筋肉の興奮伝導、ナトリウムの排泄促進 | 高血圧、慢性疲労症候群、筋力低下、神経機能の低下、抑うつ、睡眠障害、虚弱、便秘、乾燥肌 | 四肢の痺れ、不整脈、頻脈、 筋力低下、吐き気 ※一般的に過剰になることはほとんど無い。 |
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骨の健康維持、多種の酵素反応に貢献 | 食欲不振、嘔吐、疲労感、こむら返り骨粗鬆症、ストレス性潰瘍、便秘、腎結石、尿路結石、糖尿病、通風 | 下痢、軟便 | |
骨・歯の形成、血液凝固、心臓・血管・筋肉二の収縮、神経活動、ホルモン分泌に関与 | 骨粗鬆症、高血圧、動脈硬化、神経過敏症、不安焦燥感 | 腎結石、尿路結石、、ミネラル吸収阻害 | |
骨・歯の形成、エネルギー代謝に関与、体液のpH調整 | 食欲不振、倦怠感、骨粗鬆症、発育不全、腎結石、尿路結石、 | カルシウム吸収阻害、副甲状腺機能低下 | |
抗酸化機能、有害ミネラルの解毒 | 心筋症、カシンベック病 ※一般的に欠乏する事はほとんど無い |
爪の変形、皮膚障害、歯の変形、胃腸障害、脱毛 | |
甲状腺ホルモンの構成成分、脳・末梢組織、骨格などの成長促進 | 甲状腺腫、甲状腺機能低下症、(橋本病)、成長障害 | 甲状腺腫、甲状腺機能亢進症(バセドウ病) | |
インスリンの働きを助ける耐糖因子の構成成分、 | 耐糖能異常、動脈硬化 ※一般的に欠乏する事はほとんど無い |
腹痛、下痢、尿細管障害 ※一般的に過剰になることはほとんど無い。 |
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キサンチンオキシダーゼ・アルデヒドオキシダーゼ・亜硫酸オキシダーゼの補酵素(モリブデン補欠因子)として機能 | 長期完全静脈栄養法を受けている場合、頻脈、頻呼吸、頭痛、悪心、嘔吐、昏睡の報告 ※一般的に欠乏する事はほとんど無い |
銅欠乏、貧血、高尿酸血症 ※一般的に過剰になることはほとんど無い。 |
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アルギニン分解酵素・乳酸脱炭酸酵素・マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の構成成分 | 成長障害、骨格異常、糖耐性障害、生殖機能障害 | 神経障害、肺炎 ※一般的に過剰になることはほとんど無い。 |
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ヘモグロビンや各種酵素の構成成分、 | 鉄欠乏性貧血、体温保持機能低下、氷食症 | 嘔吐、下痢、蒼白、頻脈、呼吸促迫、亜鉛の吸収阻害、ヘモクロマトーシス | |
細胞呼吸・エネルーギー代謝、活性酸素除去、鉄の輸送・代謝、ヘモグロビン生成促進 | 銅欠乏性貧血、動脈異常、骨異常、メンケス病(先天的代謝異常) ※一般的に欠乏する事はほとんど無い |
嘔吐、下痢、ウィルソン病(先天的代謝異常) ※一般的に過剰になることはほとんど無い。 |
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遺伝子発現、タンパク質合成 | 免疫機能低下、味覚障害、皮膚障害、精子生産機能低下、成長遅延、損傷部位治癒力低下 | 嘔吐、下痢等の消化器系疾患、免疫障害 ※一般的に過剰になることはほとんど無い。 |
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有害ミネラル蓄積防止、含硫アミノ酸の構成成分 | 髪や爪の強度低下、脱毛、有害ミネラルの解毒作用低下 | ※一般的に過剰になることは無い。 ※推奨量は定められていません。 |
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浸透圧の維持、胃酸pHの調節 | 消化不良 ※一般的に欠乏する事はほとんど無い |
体外に排出されるので問題無し ※推奨量は定められていません。 |
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ビタミンB12の構成成分、ホモシスティン(動脈硬化の危険因子)の血中濃度低下 | 悪性貧血 | 不眠 ※推奨量は定められていません。 |