ポニーテールや束髪など、頭髪が継続して過度に引っ張られる事によって発生する脱毛症です。通常は少し引っ張った程度で毛髪が抜けることはありませんが、長期間にわたって牽引が続くと薄毛の原因となります。
女性に多い牽引性脱毛症は、髪を結わく際に頭髪が引っ張られ頭皮の緊張が長く続ことによる血行不良が原因です。毛髪はつむじから放射状に生えていますので、結わく事が毛流に逆らう事になり頭皮が引っ張られます。軽く結わく程度で髪は抜けませんが、たわみの無いピッチリとした結わき方(頭皮が突っ張る)で長時間、長期にわたると薄くなってしまう事があります。薄くなりやすい部位は生え際や分け目付近です。結わく事が必須な業種の方に多く見受けられます。他の脱毛症とは違い物理的な力によるものなので育毛剤等の使用では改善しません。
頭皮をマッサージする時に皮膚に弾力を感じ、頭皮が動く方はそれほど心配する必要がありません。テンションをかけなければ回復していきます。頭皮が硬い方のほうが結髪時の頭皮の緊張度は高くなります。お仕事の都合上どうしても結く必要がある場合は、頭皮が突っ張らないように、なるべく下位置で、分け目は時々変える等の工夫をして下さい。またオフの日はダウンスタイルでお風呂に入ったら頭皮マッサージを習慣にしましょう。また牽引性脱毛症ではありませんが金属製のバレッタ等で折癖がついた毛髪が断毛する事がありますので、強い圧力で留める髪飾りも見直す必要があります。
左の写真はヘアキャストとよばれているものでアタマジラミの卵ではありません。毛髪の根元付近に取り巻くように付着していて肉眼だと白っぽく見えます。髪を引っ張る力が強すぎると毛包内側の毛根鞘(もうこんしょう)の一部が切れて毛根に付着し、成長とともに毛幹部(表皮より上の毛髪部)に出てくるものです。ヘアキャストはシャンプーしても取れませんので、ヘアクリーム等を塗布して梳櫛などの目の細かいコームでしごき取るか、指の腹や爪でしごき取る事が出来ます。
結わなくなって数ヶ月経過しても改善されない場合は他の脱毛症の疑い有りですので専門医に診断してもらいましょう。